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東京高等裁判所 平成4年(行コ)109号 判決

東京都豊島区巣鴨四丁目二六番一四号

控訴人

森本洋二

東京都豊島区西池袋三丁目三三番二二号

被控訴人

豊島税務署長 富田忠雄

右指定代理人

池本壽美子

藤村泰雄

山本千臣

佐藤謙一

右当事者間の所得税更正処分取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が、控訴人の昭和六一年分及び昭和六二年分の各所得税について、平成元年三月一〇日付けでした更正(昭和六二年分については、平成四年五月一一日付けの再更正後のもの)及び過少申告加算税賦課決定を取消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

被控訴人

本件控訴を棄却する。

第二当事者の主張

原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるから、ここにこれを引用する(ただし、原判決六枚目裏一一行目の末尾の次に改行して「3 控訴人は次のとおり主張する。当初の担当者内田一の行為は証券取引法五八条一号に違反、次の担当者梁取俊夫、当時の支店長田村茂の各行為はいずれも同法五〇条三号に違反する。したがって同法の禁止規定に違反した本件有価証券取引による所得に対しては課税すべきでない。」を加える)。

第三証拠

本件記録中の原審及び当審の書証目録、原審の証人等目録に各記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「事実及び理由」の「第二ないし第四」欄に記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

1  原判決八枚目表九行目及び一一行目の「次長」をいずれも「支店長」に改める。

2  同一〇枚目表六行目の末尾の次に改行して「三 また、控訴人は、本件有価証券取引は証券取引法に違反しているので右取引による所得に対しては課税すべきでないと主張するのであるが、本件において、課税の対象となっているものは本件有価証券取引によって生じた所得であるから、仮に、右取引行為(ただし、控訴人はどの取引が同法に違反しているのか特定していない。)が同法の禁止規定に違反している場合であっても、所得が現に生じている限り、課税要件は充足され、これに対して課税をすることは許されると解すべきである。したがって、違反の有無について判断するまでもなく、右主張は採用できない。」を加える。

してみると、控訴人の本件請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法九五条本文、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 丹宗朝子 裁判官 新村正人 裁判官 原敏雄)

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